日常空間を飾る芸術文化として期待されるジークレー
アート作品を所持して鑑賞することは、欧米において庶民の生活に定着しており、最近は韓国などでも自宅にアート作品を飾られるようになりました。
そこで本協会では、プリンティングアートの新分野として期待と可能性が高まっている「ジークレー(giclee)」を基に、新たな芸術文化とその市場形成の一助になっていきたいと考えています。「ジークレー」とはフランス語にちなんだ、いわゆるデジタルプリンティングの呼称で、欧米では新分野のプリンティングアートとして、個々の作品が評価されるようになり、有名ミュージアムでも蒐集が進められています。
インターネット時代でありながら作品発表に大きな壁
しかしながら、アート作品の取り引きは、従来からの古い慣習に縛られており、プリンティングされたアートの市場も十分に拓かれたものになっていません。それがゆえに、才能が豊かで創作意欲に富んだ作家がいても、自分の作品を自由に市場に投入し、その評価を広く社会に問う手段は限られた状況にあります。
残念なのは、インターネット時代となり、作家と購入者の直接取引による市場の形成が広まりつつあるものの、取り引きの信頼性や商品の品質、作品の真贋などを公益的保証する環境は整っておらず、また当然のことながら、それを作家自らが行うことには高いハードルがあります。
公益的な観点からジークレー普及をサポート
そこで私たちは、2020年春から「giclee2020プロジェクト」の名称で、ジークレー制作に関する情報をWebを通じて発信し、またジークレーの認知度向上を目的にしたWebアート展を開催しつつ、ジークレーに対する普及啓発活動に臨んできました。とはいえ、ジークレープリンティングの規格基準の統一や著作権保全のサポートなどでは、任意団体としての限界もありました。そこで、特定非営利活動法人となり、ジークレーの新分野の芸術としての価値の創出や、ジークレー作品の自由で開かれた販売市場の形成支援に公益的に取り組んでいくことを決意いたしました。
今後は、ジークレープリンティングの研究成果を踏まえた規格基準の策定やその情報公開、また規格基準を満たした個々のジークレーの品質認証、著作権保護のサポート業務などを行う機関として本協会を機能させ、さらにはジークレー作品のインターネットを通じた展示販売の支援や、作品展の開催、作品図録の出版なども手がけ、ジークレーを通じて市民の芸術文化の振興に寄与していく考えです。