ごそう鉄太郎のジークレー「黄葉」から

〈吹き付ける〉

ジークレー(giclee)とは、フランス語で〝吹き付ける〟という意味をもった言葉から発した、いわゆるデジタル版画の呼び方です。絵画などの画像データを使い、最新のデジタル印刷機で数万ともいえる色数を使ってプリンティングする技術として1980年代に登場しました。

〈現代の錦絵〉

またそれは、絵画などの作品とプリンティングの専門ノウハウを融合して培われるもので、制作プロセスにおいては版元・絵師・彫り師・摺り師が連携した錦絵(註1)の分業体制に近いものがあります。

(註1)錦絵とは

風俗画を木版で多色摺りしたもので、江戸時代中期から明治初期に掛けて流行した。浮世絵と錦絵が混同されることがあるが、浮世絵は肉筆画と木版画を含めた風俗画のことを指す。

〈匠たちの技が融合〉

錦絵は江戸時代にブームとなり、歌麿、写楽、北斎や広重などの作品が代表的で、それらは海を渡りヨーロッパ印象派の画壇にも影響を与えます。その錦絵のブームを創り、発展させたのは、前述したように、絵師の芸術的才能とともに、分業に携わった匠たちの優れた技でもあったのです。